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当ブログを運営するFukulow(@yuta_black)です。
いやぁ、本を予約して発売を心待ちにするという経験は久しぶりでした。
きんどう(通称きんどるどうでしょう)という、Kindle本まとめサイトをご存知でしょうか。
これまでにサイトから売った電子書籍は累計100万冊とも言われる、Kindleヘビーユーザーなら知らない人はいない化け物メディアです。
累計販売冊数もさることながら、驚きなのはその化け物メディアを完全に個人で運営されているということ。
非常に真摯でストイックなメディア作りをしている方という印象で、同じくブログメディアを運営している身として以前から気になる存在でした。
今回はそんな「きんどう」管理人zonさんが、1000日間のメディア運営を振り返って電子書籍を出されたということで、告知を見た時には脊髄反射でKindleポチしていました。
1時間ほどでガーッと読んでみて、心に残った文章などを引用しつつ、感じたことを書いておこうと思います。
本書は電子書籍の関係者を想定して書かれていますが、今回は主に「メディア運営」の部分に焦点を当てて書いています。
メディア運営にかける覚悟
まず全体を通して感じたことは筆者のストイックさとメディア運営にかける覚悟。
様々なメディア運営のアドバイスが書かれていましたが、言うは易し、行うは難し。
メディア運営者の端くれだからこそ、その凄さがよくわかりました。
(中略)
息をするように更新しましょう。更新こそが人生です。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
この言葉は本当に自分の胸に刺さりました。
2,3日に1記事とか悠長なこと言っている場合じゃないんだよな。
「きんどう」ほどのメディア運営者でも、まず口をついて出てくるのは「とにかく書く、わき目も振らず書く。」
結局これに尽きるということですね。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
わき目も振らず更新しまくった結果、自覚的に手段と目的が逆になる感じ、ぼくは好きです。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
手は止められそうにないと言いつつ、節目にしっかり本まで出版しているから驚き。
きっとzonさんは個人ではなくビークル的なユニット名なんだ。(白目)
ただ、ここまで無心に手を動かすことに集中できるのは、メディアコンセプトや戦略といった外堀がしっかりしているから。
本書ではそうしたコンセプトの重要性や作り方、メディア戦略などの具体例がたくさん書かれていました。
メディアのステージに応じた戦略
メディア運営のためのアドバイスの中から、個人的に参考になったのはこれ。
(中略)
とにかくキンドルというサービスの認知向上とそれを行う便利なサイトだというアピールを続けました。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
筆者はメディアの成長ステージを「立ち上げ」「成長」「安定(衰退)」に分け、それぞれでやるべきことが違うと言います。
ぼくはこれまで検索からの流入というインバウンド的な視点が中心になってしまっていましたが、サイト知名度を上げるために、上記のようなアウトバンド施策はまだまだやれることがたくさんあると感じました。
今や日本最大級のコミュニケーションメディア「LINE」でさえ、サービス初期はTwitterなどで地道にユーザーからの問い合わせに答えていたといいますしね。
継続させるための心構え
なんだかんだメディアは継続が命です。
長期間続けても芽が出ないメディアももちろんありますが、一朝一夕で有名メディアを作ったという例はほとんどありません。
メディア運営に真剣に向き合っている「きんどう」でも1000日ということを考えるとやはり継続は大切なんだと再認識。
そんな「きんどう」管理人の筆者のスタンスは”面白くて金になる”ということ。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
ここは筆者の意見に完全同意。
よくブログをやっていると「お金稼げていいね」なんて言われますが、特に立ち上げ間もない時期はブログで稼ぐなんてめちゃくちゃコスパの悪い手段です。
手前の金欲しさに、足元を見られた額で物を質に入れるようなものです。
安定してくればちゃんと損益分岐点は越えられますが、そこにいけるメディアは本当に一握り。
なので本当にお金だけのことを考えるなら、ブログなんてすぐにでも辞めるべき苦行です。
それでも毎日続けられるのは、書くこと自体が好きだからです。
メディアと広告
メディアとは切っても切り離せない広告についても、本書では述べられています。
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
この点に関しては、ちょっと筆者とは違う視点かもしれません。
広告は全てのユーザーにとってノイズか
というのもWebメディアの会社に勤めている身として、ぼくは広告が毎日多くのユーザーにクリックされているのを見ています。
もちろん誤クリックを誘発する悪質なものもありますが、ほとんどの場合はユーザーが自ら興味を持ってクリックをしています。
その証拠に、クリエイティブ(広告の画像等)を変えると確実にユーザーの反応は変わるんですね。
商品の訴求ポイントが盛り込まれた良いクリエイティブはきちんとクリック率が高まります。
そしてもう一つの証拠として、毎日多くのユーザーが広告をクリックした先のページで物を買っています。
コンテンツを読者に伝えるのがメディアの役割なのはその通りですが、むしろ読者が自分では見つけられなかった魅力的な気づきを広告という形で提供することもまた、ユーザー視点から見れば良いメディアの役割ではないかと。
ユーザーは利己的です。自分が納得したものにしか対価を払いません。
そうした前提の中で毎日、広告経由で物が売れていく現場を見ていると、嫌われている広告も誰かにとっては役に立っていると感じます。
アフィリエイトは商材の偏りが強い
ぼくもアフィリエイト自体は広告主・アフィリエイター・ユーザーの三方良しなものだと思っています。
ですが現状、アフィリエイトは商材の偏りが強いのが課題だと感じています。
ASPが取り扱う商材になると途端にちょっと怪しめだったり、そもそも分野によってはほとんどアフィリエイトの取り扱いがない商材もあります。
そうした分野でも情報を求めている人はいるわけで、そうした際に多くの広告主が出稿していて、ターゲティングが豊富なGoogleアドセンスなどネットワーク型のクリック課金広告は、メディアの収益化の手段としては有用だと思います。
ただ、ネットメディアのマネタイズ手法は黎明期からほとんど変わっておらず、まだまだ改善の余地はあるとは感じます。
最近はとにかく人を集めて、広告さえ踏ませれば良いと考える質の低いメディアが跋扈しているのも事実だと思います。
現在進行形の成功物語
引用:『kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』
本書の最後にサラッと書いてあった、本書の中でもひときわ好きな一節。
素直にかっこいいなぁと思いました。
ちゃんと自分にメリットがあると判断した上で本書を出したとは思いますが、積極的に手の内を明かす、時には自サイトの弱点まで明かして業界を盛り上げるということは、なかなかできることでは無いかなと。
そして、そうして生まれた競合メディアとは真正面から戦う筆者の姿勢。
「きんどう」と筆者は、メディア運営としては十分成功していると思いますが、それに奢ることなく手を動かし続けています。
本書はそんな筆者の「これまでの1000日」と「これからの決意」を書いた、現在進行形の成功物語です。