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『リーダーシップ構造論』

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サムネはlife hackerの書籍レビューの真似した。

波頭亮さんの『リーダーシップ構造論』という本を読んだ。波頭さんの本は『思考・論理・分析』に続き2冊目。
波頭さんの著書はすごく複雑な議論をしているのに、ロジカルでとっても読みやすい。理路整然とした文章で、挿入図もシンプルながら内容理解と全体観の把握に一役買ってる。
なんでも日本で一番feeが高いコンサルタントらしい。波頭さんみたいな文章書けるようになりたい。

内容としてはリーダーシップ発現構造の分析と、リーダーシップ開発について。
特に「リーダーシップ=属人的、先天的」と思われがちな風潮に対して、リーダーシップは開発できるものであり、またさらにリーダーシップの発現は組織論的にコントロールできることを示したのが本書の一番の特徴。
要するに個人としてリーダーシップは後天的に会得可能であり、さらにある組織を企図的にリーダーシップが発揮されやすいように編成することも可能であるというのが論旨。

以下本文を自分なりに整理・要約。

◎組織運営の二つの方法論 

・リーダーシップ…人の心に働きかけて、啓発と動機づけによって人を動かす
作用形態 >> リーダー属人力を根拠として、啓発と動機づけによって作用
有効性  >> 柔軟性とモチベーション
適用範囲 >> 創造的業務

・マネジメント…ルールや精度を組織メンバーの行動に適用し、組織集団を動かす
作用形態 >> 契約を根拠として、指示と管理によって作用
有効性  >> 効率性と再現性
適用範囲 >> 標準的業務

◎リーダーシップ発現のプロセスとファクター

写真 2013-10-04 11 34 12

軽く図にまとめてみました。
本を読むときは、概要とかをevernoteに保存するようにしてるんだけど、テキスト図とかはやっぱりフリーハンドで書いて整理したいということで、ちょっと前からSHOT NOTE使ってます。字は汚いけど、図は上手く書いたつもりなんで許してください。

◎人間関係論ファクターを組織運営ファクターへ変換

前項で挙げた「リーダーシップコア」「コミュニケーション」「ケミストリー」「クリエイティビティスペース」の4つのファクターは人間関係論的な要素です。言うなれば一義的なファクター。
「リーダーシップコア(があるか?)」「クリエイティビティスペース(があるか?)」という受動的な把握です。

これを筆者は組織運営ファクターへ変換していきます。
これはより能動的な把握で「リーダーシップコア(をどう作るか)」「クリエイティビティスペース(をどうつくるか)」という捉え方です。

具体的には

人間関係ファクター       組織運営ファクター
「リーダーシップコア」    →「リーダーシップコア」
「コミュニケーション」    →「タスク特性(ジョブデザイン)」
「ケミストリー」       →「チームケミストリー」
「クリエイティビティスペース」→「組織特性(組織・制度)」

という風に各ファクターを捉え直します。例えばつまり、「コミュニケーション」の有無は「タスク特性」によって企図的設計が可能であり、「クリエイティビティスペース」の有無は「組織特性」によって設計が可能であるということです。

この変換操作により、リーダーシップ発現を組織運営におけるファクターへと再定義することができます。
つまりこれまで属人的要素に頼らざるを得なかったリーダーシップ発現を組織設計上の戦略として位置づけることができるということです。この視点の転換は本書の最も大きな特徴であり功績であると筆者は述べています。

◎リーダーシップ発現の構造

その後、主にリーダーシップコアを構成する要素を網羅的に分析した上で、リーダーシップ発現の構造は以下のように整理することができます。

◆リーダーの属人的資質…部分的に開発可能
●リーダーシップコア(この人について行こうと思わせる資質)
○能力
・意思決定力
・実行力
・コミュニケーション力
○人間性
・愛情
・倫理
○一貫性
・時間的一貫性
・関係的一貫性
・状況的一貫性

◆組織環境条件…企図的に設計可能
●チームケミストリー
●タスク特性(ジョブデザイン)
●組織特性(組織制度設計)

このように分析した上で、リーダーシップコアに関してはそれぞれの項目の開発可能性、及び具体的な開発方法の言及に入ります。

ここで面白かったのは、リーダーシップコアの中には「愛情」や「倫理」など必ずしも開発可能で無いものもあるが、そういう項目に関しては『あるように振る舞う(演技する)』という方法論が有効であるとしている点です。
非常に精緻な分析を行いながらも、必ずしも理想論ではなく現実的な策を考案しているのはコンサルタントである筆者ならではだと思います。

開発可能な項目に関しては、非常に具体的で再現性を考慮した策を提案しており、こちらも参考になりました。(意思決定力を向上させる為に論理的思考力を向上させる必要がある。論理的思考力を向上させる為には裁判の判決文を読むのが良い。など)

リーダーシップに関する本は沢山ありますが、あまりにも心理学的アプローチによりすぎて定量的な反面実践が難しいものや、あまりにも定性的な精神論で根拠に乏しいもののどちらかが多い気がします。
本書は全体としてアカデミックな分析的・論理的視点と、実務ベースの現実的視点のバランスが良い本でした。
やっぱり波頭さんみたいな文章が書けるようになりたい。

 

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