3万円~5万円
本革を使ったグットイヤーウェルト製法のドレスシューズが欲しいなら、このくらいの予算が下限になるかもしれません。
就活時に安い革靴をとりあえず購入したが、社会人に2,3年目になって少し良い革靴に買い替えたいというような方にとっては、この価格帯が選択肢に入ってくると思います。
もっとも単純に価格が安いから品質も劣っているというわけではなく、このあたりのブランドはゴムソールやコマンドソールを用いていたり、防水性があったりと伝統的な紳士靴にはない機能性を持った革靴が多いのが魅力です。
YUKETEN(ユケテン)
YUKETENは日本人のマツダユキ氏が1989年にアメリカで創設したシューズブランド。古き良きアメリカ靴に定評があります。
モカシンが主力商品ですが、ユケテンらしいドレスシューズも一部生産しています。
・定番モデル「1940 Milspec Oxford Straight Tip」(約50,000円)
非常に力強い印象の1940年代のミリタリーシューズをベースにした一足。男ならグッとくるのでは?
加工を施さず天然皮革そのままを用いたフルグレインレザーと、非常に厚いレザーソールが目を惹きます。
無骨なスーツスタイルはもちろん、カジュアルにも使えるストレートチップです。
SANDERS(サンダース)
SANDERS(サンダース)は1873年に設立された約135年の歴史を持つ、靴の聖地ノーサンプトンのメーカー。
伝統的なグットイヤーウェルト製法と素材への徹底したこだわりを持ち、イギリス靴のメーカーでも僅かしか与えられていない品質管理の国際規格であるIS09002を取得しています。
またイギリス国防総省で使われるレザーシューズのオフィシャルサプライヤーでもあり、その品質の高さはお墨付きです。
・定番モデル「9910A Military Cap Oxford」(約48,000円)
ドレスシューズの一般的なモデルであるキャップトゥを、SANDERSらしい無骨なミリタリーで仕上げた一足。
張り出しの強いコバに、シューホールもハトメ金具を使っておりカジュアルさが漂います。
さらにソールはITSHIDE社のラバーソールを使っているので、雨の日でも快適な歩き心地を実現。
千葉刑務所
公式サイトなし(製品カタログはこちら)
こちらは知る人ぞ知るマニアックなブランド?である千葉刑務所謹製の革靴。千葉刑務所の囚人が手縫いで作る靴です。
千葉刑務所は初犯で刑期が8年以上の重犯者が収容されており、その収容期間の長さから高度な技術が身につくのだそう。
服役者の刑務作業の一環として靴を作っているので、クオリティに対して非常に安価である、カスタマイズができるなどの点が靴好きの間で話題を集めています。
毎年11月に行われる府中刑務所文化祭にてオーダーの受付を行っていますが、例年人気が増していて現在では納品まで半年~1年ほど時間がかかってしまうそうです。
・定番モデル「ハンドソーン ストレートチップ」(48,000円)
千葉刑務所の囚人によるハンドソーン(手縫い)製法で作られたストレートチップ。
ハンドソーンを用いた規格品で48000円というのは破格の価格です。
木型はノーズが長いスクウェアトゥ。
写真はブラウンですが、革の種類や染め方、細かいデザインなどオーダー時にカスタマイズが可能です。
COLE HAAN(コールハーン)
1928年に誕生したアメリカの老舗ファッションブランド。手頃な価格と遊びのあるデザインのシューズを多くデザインし、日本でも愛用者が多くいます。
長らくメンズ/ウィメンズシューズを主力製品にしてきましたが、昨年リブランディングを行いバッグや小物などのラインナップも充実させたライフスタイルブランドへと舵を切りました。
・定番モデル「CAMBRIDGE J CAP OX」(約47,000円)
ソール中央部にラバー素材をはめ込むことにより、レザーソール特有の滑りやすさを克服。さらにクッション性の高いインソールを搭載し、快適な履き心地を実現してます。
「J」という頭文字は、日本人男性の足型に合せて開発されたラスト(Jウィズ)を採用していることを表しています。
HERRING(ヘリング)
http://www.herringshoes.co.uk/
1966年に英国で創業したHERRINGはもともと革靴ファクトリーではなく、販売会社でした。
しかし長きにわたる英国紳士靴業界での実績を活かし、現在では高級靴工場に製作を依頼し独自のブランドを展開しています。
「質の良い靴がどのように人生を豊かにしてくれるものか、多くの方にご理解してもらう」という情熱を元に経営を行っています。
・定番モデル「Charles II」(約45,000円)
薄いソールが気品を感じさせるキャップトゥ。
このCharles Ⅱというモデルはアルフレッドサージェント社によるハンドメイドによって作られています。
アルフレッドサージェント製でありながら本家よりも値段が抑えめなので、コストパフォーマンスがよい一足。
REGAL(リーガル)
おそらく日本で最も有名な紳士靴ブランドであると同時に、時代を超えて愛されるトラディショナルシューズブランドのリーガル。
あまりにも定番すぎて軽視されがちなリーガルですが、グッドイヤーウェルト製法では紳士靴の聖地ノーザンプトン遜色ない歴史をもち、日本人の足を研究し尽くした非常に信頼できるブランドです。
・定番モデル「W121CB」(約40,000円)
グットイヤーウェルト製法で作られたリーガルの定番キャップトゥシューズ。
シンプルで癖のない作りで、どんなスタイルにもマッチ。スクウェアトゥでややフォーマルな仕上げ。
REGALは製品展開も豊富で、2万円代のキャップトゥなども多く取り揃えています。
あまり予算をかけたくないという方には下記の「2E 011R AL」もおすすめ。
BARKER(バーカー)
http://www.barker-shoes.co.uk/
1880年英国ノーザンプトンで創業した老舗紳士靴ブランド。製造工程の多くを未だに手作業で行っています。
質の割に良心的な価格設定で、伝統の英国紳士靴への第一歩として選ばれることの多いブランド。
・定番モデル「Nevis」(約40,000円)
やや幅広のGラストを採用したキャップトゥ。
ステッチ部にさりげなく入ったギザギザの装飾ディテールや、ダブルステッチ仕様のフェイシング(内羽根の中にあるステッチ)など、カジュアル寄りの一足。
SCOTCH GRAIN(スコッチグレイン)
スコッチグレインは東京・墨田区発の本格革製シューズブランド。
現在も東京・墨田で一貫生産を行っており、グッドイヤーウェルト製法を採用し、日本人の足に合う木型を使った履き心地のよい靴作りを目指しています。
日本人に合った木型で製造を行うだけでなく、世界各地の有名タンナーから社長自ら革を買い付けるこだわりよう。
国産でコストパフォーマンスが良いので、そこそこの価格帯で良い物を選びたいという方にはオススメ。
・定番モデル「LIGHT CALF」(35,000円)
スコッチグレインのミドルクラスの定番モデル。価格と品質のバランスが素晴らしいシューズです。
スコッチグレイン最初の一足としてはもちろん、初めての革靴としてもおすすめしたい一足。
madras(マドラス)
http://www.madras.co.jp/brand/mens/madras.html
90年以上の歴史を持つ日本のシューズメーカー「マドラス」が、展開する革靴ブランド。
社会人にとって履きやすい靴作りをしており、雨の日や雨になりそうな日でも安心して履ける、防水機能を施した機能的なビジネス用革靴が特徴です。
・定番モデル「M168G」(約32,000円)
フェイシングのステッチを配した、フォーマルな装いのストレートチップ。
防水処理をした国産キップレザーを使用するだけでなく、アウトドアウェアなどに使われる高機能素材のゴアテックス仕様で、非常に快適な履き心地を実感。
ソールもレザーソールではなくオリジナルのラバー製コマンドソールを採用していて、外回りが多い社会人に最適な革靴です。
JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
http://www.jalansriwijaya.com/
ジャランスリワヤは、今じわじわと人気が高まってきているインドネシア原産のブランドです。
オーダー靴などはアッパー、インソール(中底)及びウェルトを縫いつけるハンドソーンウェルテッドという、非常に手間がかかる(そのぶん耐久性や足馴染みが良い)手法を用いて作られます。
ジャランスリワヤの靴はこのうち手作業での機械作業では不可能な「すくい縫い」まで手縫いで行い、最後のアウトソールのみ機械で縫う「九分仕立て」という製法で作られます。
その高い手縫技法の技術が評価され、現在では他ブランドの高級靴のOEMも請け負っている実力派。
高級靴とも見劣りしない品質ですが、価格はグッと抑え目で非常にコストパフォーマンスの良いブランドです。
・定番モデル「98321 BLACK」(約30,000円)
アッパー・ウェルト・インソールを手作業で抜い合わせるハンドウェルテッド・グッドイヤー製法で作られたキャップトゥ。
アッパーはフランスのデュプイ社製、底材にはベルギーのアシュア社製と素材選びにも妥協がありません。
ぼくも同じものを所有して、結構な頻度でヘビーローテーションしています。足に吸い付くような履き心地で、買った次の日からすぐに履き回すことができました。
今は同じ方のブラウンも買い足そうか検討中。。。
~3万円
有名紳士靴ブランドの生産ラインや供給力を活かした廉価ブランドや、比較的安価に製造が可能なマッケイ製法を使い価格を抑えたブランドなどがここにあたります。
本革を使った革靴が欲しいけど、予算はできる限り安く抑えたいという方はここのブランドを一度ご覧あれ。
ANTONIO RUFO(アントニオ ルフォ)
「イタリア靴の入門」をコンセプトにしたイタリアの紳士靴ブランド。デザイン性に優れたイタリア靴を手頃な価格で提供しています。
予算2万円前後という、ドレスシューズではなかなか無い価格帯のラインナップが豊富なので、「安物は嫌だけど、お金はかけたくない」というワガママな悩みをお持ちの方は是非。
・定番モデル「AR6558-001」(約22,000円)
ラストが広めのシンプルでクセのないキャップトゥ。
ソールに程よい返りがあったり、革底とゴム底のコンビになっていたりと、実用性も高い一足です。
Florsheim(フローシャイム)
http://www.florsheim.com/shop/index.html
フローシャイムは1892年に創業されたアメリカの紳士靴ブランド。
日本ではそれほど知名度はありませんが、高価格帯のインペリアルシリーズから手頃な価格のドレスシューズまで幅広いラインナップを取り揃えており、アメリカでは非常に人気があります。
本革を使って1万円代で手に入るドレスシューズとしては、質・デザインともに非常にレベルが高いです。
・定番モデル「Edger」(約15,000円)
無加工のフルグレインレザーを使ったキャップトゥシューズ。シンプルな佇まいの中にダブルステッチがアクセントになっています。
甲広な日本人の足に合わせたEEEラストを選ぶことができるので、革靴のワイズで悩んでいる方にもおすすめです。
KENFORD(ケンフォード)
http://www.kenford.jp/index.php
ケンフォードはリーガルの兄弟ブランド。
クセがなく履きやすいデザインで価格もリーズナブルなので、REGALよりも若年層向けのブランドです。
・定番モデル「KM47AB」(約13,500円)
シンプルで履きやすいデザインの他、ソールがラバー製で滑り防止になっていたり、甲広の日本人にフィットするEEEラストを採用したりと履き心地にもこだわっています。
1万円代と手頃な価格なので、初めての革靴や新入社員の方などにうってつけの一足。
とにかく安い値段で恥ずかしくない革靴を用意したい人は、こちらを検討してみて。
まとめ
以上、上質な革靴のブランドを30選ご紹介しました。めちゃめちゃ疲れた。。。
冒頭の言い伝えではないですが、個人的にも良い靴を履くと背筋が伸びる思いがして、自分に自信が持てるような気がします。
格好良いという見た目の問題ももちろんですが、そうやって前向きな気持ちになることが、良い靴を買う一番の効用なのかもしれません。
上質な革靴3足くらい欲しい!!
— Fukulow@DRESS CODE. (@yuta_black) 2015, 11月 30
革靴はスニーカーなどと違い、少しのサイズ感がダイレクトに履き心地に直結します。正しい革靴のサイズ合わせの仕方をまとめましたので良ければ参考にしてみてください。
→【完全版】プロに聞いた!革靴のサイズ合わせの際に確認すべきポイント
良い革靴を買ったらできる限り長く大切に履きたいですよね。そのための定期的なお手入れも抜かりなく。
→超基本!最も定番な革靴のお手入れ方法を、分かりやすく解説します!