ぼくはどちらかというとドメスティック(国内)ブランドが好きで、普段着も日本のブランドが多いです。それでもこれまで何となく「インポートブランドの方が服の仕立てが良い」と思っていました。
今回はそんなぼくのこれまでの考え方を変えるような、本物志向の日本ブランドが2016年春夏にデビューするのでご紹介します。
ブランドの由来・コンセプト
cantate(カンタータ)は2015年8月に立ち上げたばかりのブランド。
「本当にいい洋服とは何か。」を真摯に問い直し、日本が誇る「手仕事」を駆使し“至高”の素材を使ったものこそがいい洋服だと言います。
歌が器楽に、器楽が歌に共鳴する様に関わる全ての方の日常に寄り添う「ハレとケのワードローブ」がコンセプトです。
その日常がどれだけ時間を経ても、cantateを手に取って頂ける様に。
引用: about|cantate
生産する服全てに、デザイナーと職人のこだわりがふんだんに詰まっており、コンセプトが服作りの細部にまで落とし込まれていることが分かります。
cantate(カンタータ)2016年S/Sコレクション
cantateのデビューコレクションを写真でご紹介します。
珍しい特別な布地と独特な製法で作られた生地を、50年以上の経験を持つオーダースーツ職人が縫製を仕上げたジャケット。
ジャケットの内側には南京玉縁・揉玉・松葉閂といった、機械では出来ない手仕事が光ります。
シンプルだからこそ、素材と縫製にこだわりまくった逸品。
綿のカシミアとも呼ばれるスーピマコットンにシルクを混紡し、手動式横編機という手編みと同じくらいの時間がかかる機会で作られたニット。
袖と裾にあしらわれたボタンは本水牛製です。
センタークリースが入った、テーパードシルエットのセルヴィッチデニム。
スラックスの代わりとなる、cantateオリジナルな提案のデニムです。
ジッパーは60年代デッドストックのVintage TALONジップを使っています。
このチョイスは渋い。。。
cantateはシャツにも力を入れています。
襟の形・素材違いで3型ものバリエーションがあります。
上の画像はワイドカラーシャツ。
フレンチカラーシャツ。
オックスフォード生地のボタンダウンシャツ。
それぞれの製品に込められた想い
cantateの服を一言で表すとしたら「こだわり」です。
普段服を選ぶ際、その服に込められたデザイナーの意図を意識する機会ってあまりないと思います。
デザイナー側もコレクションという形で世界観は表現しつつも、製品の細部について細述したりはしません。
しかしcantateはそんな作り手の想いやこだわりを、製品に乗せまくっているのです。
その証拠が製品の説明。
公式サイトのコレクションページには、製品一つ一つに生地や製法・こだわりの点などが事細かに書かれています。
例えばこれは上で紹介したテーラードジャケットの説明書き。
15行に渡って、製品の製法や想いが綴られています。
こちらは同じく紹介したデニムの商品説明。
クールに写真だけで掲載しているようなブランドが多い中で、ここまでおしゃべり?なブランドはそうありません。これもひとえに、デザイナーのこだわりが反映されていると言っても良いでしょう。
安くはない。安くなくて良い。
そんなこだわりが詰まったcantateの服ですが、お値段を見てもらえば分かる通り決して安いものではありません。ジャケットは10万円を超す価格ですし、シャツ1枚でも3万円前後とかなり高価格帯に分類されます。
ですが個人的にこういったブランドの服は安くある必要はないと思います。
ファストファッションの台頭などで、ファッションの低価格化の圧力に押されるブランドはたくさんあります。最近では以下のようなニュースもありました。
高い服は良い、安い服が悪いというつもりはありません。
しかし全体的な低価格化トレンドの業界において、あえてこだわりを詰め込みまくったcantateのようなブランドの存在は相対的に価値が高いと思います。
2016年S/Sよりブランド始動!
注目のブランドcantate(カンタータ)は2016年S/Sシーズンより始動します。現在は販売に関する情報等はまだありませんが、来年を楽しみに待っておきます!