本コーナーではメンズファッションを論理的に分析し、オシャレになるためのファッションテクニックを1つずつ解説してきます。
オシャレはセンスという言葉と一緒に使われ、しばしば感覚的なものだと思われています。
しかし実はファッションというのは論理的に説明できる部分も多くあります。
また自分の個性を生かしたオリジナルなファッションをするにも、まずは基本を押さえておいて損はありません。
ドレ/カジ比率
服はざっくり大別すると「ドレス」と「カジュアル」の2種類に分けられます。
ドレスというのはスーツやタキシードなど西洋の礼装をイメージさせる、スタイリッシュな服装・着こなしです。
対してカジュアルは労働者・民族・アウトドアなどを連想させる、機能性を重視した洋服・ラフな着こなしを指します。
【ドレス・カジュアルの例】
<パンツ>
スラックス→ドレス / デニム→カジュアル
<サイズ感>
タイト→ドレス / ルーズ→カジュアル
<パンツの丈>
短め→ドレス / 長め→カジュアル
そして今っぽいファッションを作る上で、大切なのはドレスとカジュアルのバランス。
レディースファッションでは「甘辛Mix」というコーディネートテクニックがあります。
これは甘め(=可愛らしい)の服と、辛め(=格好良い)の服を組み合わせることで、オシャレさを出すこと。
左:鮮やかな色味のワンピースを、男らしいライダースと合わせた着こなし(Photo by WEAR)
右:ガーリーなワンピースを、ミリタリーアウターで引き締める(Photo by WEAR)
同じように、メンズファッションで大切なのはドレスとカジュアルのバランスです。
ドレスに寄せすぎるとキメキメのホストのようなスタイルになってしまうし、カジュアルに寄せすぎると作業着や子供っぽい雰囲気になってしまいます。
ドレスとカジュアル、極端にどちらかに寄りすぎることなく、双方を上手くミックスさせる。
コーディネート全体でドレスとカジュアルの比率を調整することを意識すれば、こなれた印象になります。
ドレ/カジ比率を用いた着こなし例①
こちらのコーディネート、上半身は古着のオーバーサイズのモッズコートでカジュアル感たっぷり。
これにボトムスが色落ちやダメージの入ったデニムを選んでしまうと、カジュアルさが強すぎてややもすれば汚らしく見えてしまいます。
今回はボトムスを細身で黒いパンツを選ぶ、丈をくるぶしくらいのやや短いものにして、下半身はカジュアルになりすぎないようにしています。
さらに汚れの無いきれいなスニーカーを合わせることで、上半身のカジュアルさを上手く中和しました。
図にするとドレスとカジュアルの全体比率はこんな感じ。
ドレ/カジ比率を用いた着こなし例②
次はこちらのコーディネート。
白シャツを上まで留め、スラックスにビットローファーを合わせたキレイ目なコーディネート。
しかしここにテーラードジャケットを合わせてしまうとカッチリしすぎてしまい、カジュアル着としてはやや面白みに欠けます。
今回はアウターにミリタリーテイストのブルゾンをチョイスし、さらにそれを肩掛けすることでカジュアルさをプラス。
少しカジュアルさを出すだけで、一気にこなれた印象になります。
このようにドレスとカジュアルの比率を考えることで、コーディネートの幅が広がります。コーディネートの『ドレ/カジ比率』、一度意識してみてください!
ちなみにドレス中心のコーディネートにカジュアル要素を取り入れることを「ドレスダウン(着崩す)」「抜け感を作る」。逆にカジュアル中心の着こなしにドレス要素を取り入れることを「ドレスアップ」「引き締める」と表現することが多いです。