2018年9月12日に発表された新しいApple Watch Series 4。ディスプレイの大型化や内部チップの進化など、スマートウォッチとしての利便性を着実に向上したモデルです。
もっとも、多くの人にとって知りたいのは機能がどれだけ進化したかではなく、Apple Watchが生活をどう変えてくれるのかではないでしょうか。
Apple Watchを使う価値の1つが、“iPhoneを取り出す頻度が少なくなる”ということ。
そこで今回はApple Watchが実際の生活の中でどう役立つのかを検証するため、ぼくが普段使っている Apple Watch Series 3を駆使して、iPhoneを持たない“プチデジタルデトックスな1日”を過ごしてみることに。
Apple Watchは生活をどのように変えてくれるのか、そして本当にiPhoneを取り出す頻度が少なくなるのか。
実際にApple Watchをフル活用して1日を過ごしながら、感じたことを正直に書いてみようと思います。
新しいApple Watch発売のタイミングで、購入を検討している方の参考になれば幸いです。
iPhoneは家に置いて。Apple Watchだけの休日が始まる。
Apple Watch Series 3は従来までのGPSの他に、新たにセルラー機能が搭載されました。
これにより各通信キャリアと契約すれば、iPhoneがなくてもApple Watch単体で通信や通話が可能になります。
今回はこのセルラー機能をフル活用して、iPhoneを使わずにデジタルから距離をおいた1日を過ごしてみようというのが企画趣旨。
いつも肌身離さず持っているiPhoneを今日は家に置いて。Apple Watchだけの休日が始まります。ドキドキ。
AM10:00 近所のスタバで朝食
ぼくの休日はたいてい家の近所にあるスタバから始まります。朝に注文するのは決まってアイスコーヒーとチョコスコーン。これが食べたいという原動力を利用して、休日も朝から活動するようにしています。
ここでいきなり問題が。スタバをよく使うぼくはStarbucksのスマホアプリに金額をチャージして使っているのですが、Apple WatchにはStarbucksアプリがありません。
ここのスタバは各種電子マネーにも対応していないので、クレジットカードで支払うことに。よく利用するスタバでApple Watch決済が使えないのはちょっとショックです。Watchアプリを出して欲しい…!
AM10:30 朝から積ん読本を消化
いつもならここでSNSを見たりブログを書いたりするのですが、今日はせっかくiPhoneのない1日なのでPCやiPadも自宅に置いて出てきました。その代わりに買って読めていなかった積ん読本を読み進めることに。
デジタル機器がないぶん、いつもより時間がゆっくり進む感覚。10年前くらいまではこれが当たり前なはずだったのに、ずいぶん新鮮な気持ちです。
とはいえApple Watchが常に電波を受信しているので各種通知は腕にきちんと届きます。Instagramアカウントの投稿に誰かがいいね!をしてくれたみたい。腕にちらりと目をやって本の続きを読み進めます。
ちなみにこの日の予定は夜に友人とご飯を食べるだけ。夕方までは時間があるので最近ハマっているフィルムカメラを持ってぶらっと近場を散歩しようかと思います。
PM12:30 軽くお昼ご飯
2時間ほど黙々と本を読んでいたら疲れてしまったので、お昼を食べて写真を撮りにいくことに。朝ごはんを食べたばかりだったので、駅前のSoup Stock Tokyoで軽く済ませます。
中目黒駅前にあるSoup Stock Tokyoでは各種電子マネーが使えるので、Apple Watchに登録したSuicaで支払い。駅前・駅ナカの飲食店なら最近は電子マネーが使えるお店も増えてきましたね。
オマール海老のビスクのセットを注文。お行儀が悪いと思いつつも普段はスマホ片手にお昼を食べることも多いのですが、iPhoneが無いと食べることに集中できます。心なしかご飯も美味しく感じるような気も。
PM1:15 等々力渓谷へ移動
腹ごしらえもしたので「どこに行こうかなー」と考えていると、つい先日友人がフィルムカメラを持って等々力渓谷に行っていたことを思い出しました。
その時の写真が良かったので、中目黒からそれほど遠くもないしぼくも行ってみようかなと。
ただ空を見るとちょっとどんよりとした曇り空。雨が降ったら渓谷はちょっとなぁと思い、Apple Watchに「Hey Siri, 今日の天気は?」と聞いてみました。
表示された天気予報を見ると、すっきりしない天気ではあるけども雨は降らなさそう。ならせっかくだしちょっと行ってみようかな。
もともと一人の時間も嫌いじゃないタイプですが、スマホを持っていないという“非日常感”と“自由”でいつもより心なしかワクワクした休日です。
と、駅まで歩いていると道すがらに古本屋を発見。歩き慣れた道だけどこんな本屋さんあったっけ?
たまたま今日が珍しく開いていたお店なのか、はたまたiPhoneを持たずに視線を上げて歩いていたからお店に気付いたのか。いずれにしても、いつも暮らす街の新しい一面を発見できるのは嬉しい。
PM1:40 電車に乗って等々力へ
古本屋を物色し終わったら改めて目的地である等々力渓谷へ。
駅の改札はApple Watchに登録したSuicaでピコーンッと通ります。手をクロスさせないといけないところを除けば、反応も早くて快適です。
コラム:Apple Pay上のSuicaは、iPhoneとApple Watch間を自由に行き来できる
モバイルSuicaをAppleの端末から使う際の注意が、1つのSuicaはiPhoneとApple Watch上に並存できないということ。
上の図のように片方の端末に登録したSuicaを他方に移した場合、元の端末からそのSuicaの登録は消えてしまいます。
ただiPhone⇔Apple Watch間は、Suicaを簡単に何度でも行き来させることができます。iPhone上の「Watch」アプリ>マイウォッチ>WalletとApple Payからその設定を行えます。
数タップで簡単に登録端末を行き来できるので、Apple Watchを使わない日はSuicaをiPhoneに戻して使うということも可能です。
PM1:45 移動中はApple Musicで音楽を聞く
電車移動中はヘッドフォンを取り出してApple WatchとBluetooth接続。そのまま手元のWatchからApple Musicにアクセスして音楽を再生します。
通信可能なApple Watchなら端末に楽曲を保存してなくても、Apple Musicと接続して音楽を再生可能。大好きな岡村靖幸を聴きながらノリノリで移動します。
PM2:10 等々力渓谷に到着
等々力駅に到着。駅からは渓谷まではすぐ近くですが、駅からの方角が分からなかったので地図アプリで場所を確認することに。
ここでも入力は音声で。Apple Watchの音声認識はかなり優秀で、特別ゆっくり話したりする必要なくきちんと聞き取ってくれます。
きちんと周辺の地図も表示してくれるので、ざっと歩く方向だけを確認します。これがスマートウォッチ単体で、かつ声で操作できるなんて未来感がある…!
ただ音声入力は優秀ですが、地図を表示するのに結構時間がかかるなぁという印象。今回のようにちょっと使うだけなら便利ですが、頻繁に使うとなるとストレスが溜まりそうだなと感じました。
PM2:30 等々力渓谷で写真散歩
等々力渓谷に着いたらカメラを取り出して気ままに撮影。天気が優れないからか人もまばらで、ゆっくりと散策するにはちょうど良かったです。
後日現像した写真がこんな感じ。しっとりとした渓谷の様子が撮れました。
途中、同じように熱心に写真を撮ってた女の子がいたので話し掛けてみることに。「彼氏のカメラを借りて練習している」そうで、一緒に何枚か写真を撮ったりしました。
スマホがないお陰で、こうしたちょっとしたコミュニケーションを積極的にとるようになったのは自分でも驚いた変化でした。
PM3:30 二子玉川でちょっと一息
パシャパシャと渓谷を撮り歩いて疲れてしまったので、その足で二子玉川まで行って少し休憩することに。
道中喉が渇いたのでコンビニで水を購入。サクッとApple WatchからSuicaで支払いました。
電車を待っているとちょうど夜に会う予定の友人から「今日の夜、どうする?」とLINEで連絡が。
音声入力で「今日、大丈夫だよ。中目黒でご飯行こうか」と返事。 長文になると句読点が入らずちょっとぎこちない返信になりますが、友人とのメッセならこの程度で十分。
またLINEのWatchアプリはあらかじめ返信内容をプリセット登録もできるので、定型文ならワンタップで返信も可能です。
二子玉川についたら本日2回目のスタバへ。いろんなカフェがあるけどなんだかんだスタバって落ち着くし好きなんですよね。
特に二子玉川にあるスタバはお店の前から見るこの景色がとても素敵。ここでもカメラを構えて写真を1枚。
そしてここのスタバも電子マネー非対応なようでクレカ払い。スタバアプリがWatch対応してくれたら最高なんだけどなぁ。
PM4:00 友人と電話で夜の集合場所を決める
大好きなダークモカチップフラペチーノを飲んでると、さっきの友人から「店どこ行く?」と再度連絡が。さすがにApple Watchで何通もメッセのやり取りは面倒なので、電話で軽く話すことに。
セルラーのApple Watchなら電話の受信はもちろん、こちらから電話を発信することもできます。
たまたま別の友人と一緒にいたそうで、くだらない話でしばし談笑。Apple Watchでの通話は相手の音声もクリアで会話に支障なし。後から友人に聞いたところ、こちらの声も鮮明に聞こえていたそう。
ただイヤホンなどをしていない状態だと基本的に会話は全てスピーカーフォン状態なので、周囲にも会話が聞こえてしまうことに注意。
PM6:00 中目黒で友人と合流
フラペチーノを飲み終えて少し休憩したらもう約束の時間。二子玉川から集合場所である中目黒に向けて出発します。
中目黒に着いてApple Watchだけで連絡を取り合って無事友人と合流。そのまま軽くご飯に行ってこの日は帰宅しました。のんびり充実した1日だった!
Apple Watchだけを使った、プチデジタルデトックスを終えて
iPhoneを持たない1日を過ごしてみて、最初は「ほんとに生活できるかな?」と半信半疑だった部分もありました。
どうしようもない場合は、当日撮影をお願いしたカメラマンの雨宮さん(@amedia_online)に助けてもらおうと思っていましたが、やってみると意外と不自由するシーンは少なかったです。
実際にApple Watchだけで1日を過ごしてみて感じたことを、ババっと書き出してみると下記の通り。
- iPhoneがなくても意外と生活できる
- 電話・メッセ・地図・地図などライフライン的な機能はWatchで代替できる
- Watchの音声認識すごい
- WatchのCPUは貧弱で動きがもっさり
- 特にサードパーティ製のアプリは起動時間だけでストレスを感じるレベル
- 充電は1日使って40%くらい残っていた
- 手持ち無沙汰でもiPhoneが無いから本を読むようになる
- 必要な情報だけは取得できるプチデジタルデトックスがぼくには合っていた気がする
- iPhoneがないと1日が長く充実して感じた
- でもさすがに毎日iPhoneないのは無理だな…笑
(休日の場合は)iPhoneを持っていなくて困ることと言えば、出先での道の確認や、人との連絡などが主だと思います。こうした「出来なかったら困ること」は、現状のApple Watchでも十分代替可能だと感じました。
一方で近所で美味しいお店を調べるだとか、SNSを更新するなど「出来たら便利なこと」 はApple Watch単体だと難しいなと感じることが多かったです。
でもこれらはあくまで「出来たら便利なこと」なので、出来なくても意外と不便は感じないもの。
むしろ余計な情報をシャットダウンして本を読んだり、気ままに写真を撮ったりとゆっくりした時間を過ごせたとすら思えます。
デジタル人間なぼくにとって「デジタル機器を全て置いて出かける!」というのはハードルが高いもの。でもApple Watchを使ってデジタルとゆるやかに繋がりながら、情報を断捨離するプチデジタルデトックスはぼくでも実践的だと感じました。
CPUパフォーマンスは改善の余地あり
もっとも、良いことだけでなく気になった点も。それがApple WatchのCPU性能が低く、それぞれの動作がもっさりしてテンポが悪いこと。現状だと1つ操作するのに1〜2秒ほどの読み込みが入るので、使っているとプチストレスが蓄積されます。
もともと腕を上げて時計を必死で操作している格好はちょっと滑稽。せめてサクサク動作してもう少しスマートに使いたいなと感じました。
あとこれはApple Watchのせいではありませんが、スタバでApple Watchが使えない店舗があったのは残念でした。スタバのWatchアプリ、リリースされないかなぁ。
Apple Watch Series 4はあなたの生活を変えるかも
個人的には今回の企画を通して、まだ荒削りな部分はありますがApple Watchを駆使すれば生活が大きく変わりうると感じました。
新しいApple Watch Series 4ではディスプレイの大型化や、64bit化し処理速度がSeries 3比で2倍になったS4チップなど、より使いやすくなるアップデートも施されています。
先に挙げたApple Watch Series 3に対する不満点も、新モデルではかなり解消されているかも。そうなるとApple Watchは本格的にiPhoneを取り出す頻度を減らし、日々の生活を変えてくれるデバイスになるかもしれません。
この記事がApple Watchの購入を検討する一助となり、あなたの生活を変えるきっかけになれば幸いです。
Apple Watch Series 4、いよいよ明日発売ですね。