「革靴においてはボールジョイント部のフィット感が最も大切です。」
とある高級靴を買おうかと試着中のぼくがスタッフの方に言われた言葉です。
以前から欲しくて目を付けていた高級紳士靴。
ぼくにとってかなりの高級靴なので、購入時に最も気をつけたいと思っていたのがサイズ合わせ。
ただ冒頭のスタッフの方の言葉を聞いた時、ぼくは自分が革靴のサイジングについて無知であることを痛感したんです。
気をつけると言っても意識していたのは、試着していつもより入念に店内を歩かせてもらおうという程度。
せっかく高い革靴を買うからにはきちんとしたサイズを選びたい。
そう思い、その日は購入を諦めて自分で革靴のサイズ合わせについて勉強し直しました。
購入した革靴はフィッティングに定評のあるブランドだったので、プロであるスタッフの方にもサイズ選びのイロハを徹底的に教わりました。
今回は自分で調べて、プロの方に教わった革靴のサイズ合わせの際に気をつけるべきことを記しておこうと思います。
記事の目次
まずは自分の足型を知ろう
まずは靴を履く前に自分の足型を確認しましょう。
普段あまり意識しないと思いますが、人の足型には大きくエジプト型・ギリシャ型・スクエア型の3タイプがあります。
エジプト型
エジプト型は親指が足のつま先側の最先端にくる足型です。
日本人はこの型が多く、およそ6割ほどがエジプト型なのだとか。
ギリシャ型
ギリシャ型は足の第二指(人差し指)がつま先側の最先端にくる足型。
日本人の3割弱がこのギリシャ型の足型をしています。
スクエア型
親指から第三指(中指)までがほとんど同じ長さになっている形状がスクエア型の特徴。
日本人は1割程度しかいない、珍しい足型らしいです。
足型と相性の良いトゥを知ろう
自分の足型が分かったら次は革靴の方。
革靴には様々なトゥ(つま先の形状)の形状があります。
ここでは主な革靴のトゥの造形を紹介し、それぞれの足型との相性を書いていきます。
ラウンドトゥ
トゥの先が丸くなっている革靴のことを指します。
ドレスからカジュアルまで幅広く使うことができる一般的なトゥで、丸みが緩やかになるほどカジュアルになります。
ラウンドトゥは足の中心部分にかけて丸みを帯びているので、ギリシャ型の足と相性が良いです。
逆に左右非対称の形状であるエジプト型は合い辛いトゥです。
スクエアトゥ
スクエアトゥは文字通りトゥの先が四角い形状になっている革靴。
こちらも一般的なトゥ形状ですが、フォーマルな印象が強くなります。
四角い形のスクエアトゥには、同じく四角ばったスクエア型の足が相性◎です。
チゼルトゥ
チゼルトゥとは横からトゥを見たとき、先の形状が立体的に角ばっているものを指します。
チゼルとは工具の「のみ」のこと。角ばった様子が「のみ」に似ていることからこの名前が付いたと言われています。
チゼルトゥも先端の形状はスクエアトゥのように四角くなっているので、スクエアトゥと相性が良いです。
オブリークトゥ
オブリークトゥはトゥに膨らみがなく、親指部分を先端として緩やかに傾斜を描いていく形状。
メンズだとビルケンシュトックのボストンなどに使われているのが有名です。
オブリークトゥは親指が最も先にくるので、同じような形をしたエジプト型の足と相性が良いです。
ただし人差し指が親指より長いギリシャ型とは相性が良くない傾向があります。
ポインテッドトゥ
ポインテッドトゥはラウンドトゥよりもさらにつま先の形状が鋭角で、1点が尖っている形のトゥです。
足長(足の縦の長さ)を長く見せられるので、スマートな印象になります。
エジプト型、ギリシャ型とは相性が良いですがスクウェア型の人には合いにくいトゥです。
相性は参考程度に
足型とトゥの相性を挙げましたが、これはあくまでも目安。
次から説明していくサイズ選び・試着で問題ないことを確認すれば相性が良くない革靴も快適に履くことができます。
普段から足に革靴に合わなくて困っているというような方は、一度足型とトゥ形状を意識してみても良いかもしれません。
革靴のサイズ表記
次に革靴を選ぶ際のサイズ表記について。
革靴のサイズは主に足長(レングス)と足囲(ウィズ)という2つの要素によって決まります。
足長(レングス)
足長はかかとの先から最も長い指の先までの長さ、つまりは縦のサイズです。
レングスは同じ長さでも各国により表記の仕方が変わります。下記がその換算表です。
日本サイズ | 24.5 | 25 | 25.5 | 26 | 26.5 | 27 | 27.5 | 28 | 28.5 |
イギリスサイズ | 6 | 6.5 | 7 | 7.5 | 8 | 8.5 | 9 | 9.5 | 10 |
フレンチサイズ | 39.5 | 40 | 40.5 | 41 | 41.5 | 42 | 42.5 | 43 | 43.5 |
アメリカサイズ | 6.5 | 7 | 7.5 | 8 | 8.5 | 9 | 9.5 | 10 | 10.5 |
足囲(ウィズ)
ウィズはボールジョイントと呼ばれる、足の左右に最も長い場所(指の付け根あたり)をぐるっと一周した時の長さのことです。
ウィズの長さはアルファベットでA・B・C・D・E・EE・EEE〜Gというように表されます。
アルファベットが大きくなるほどウィズも大きくなります。
2つの要素で大まかにサイズを掴む
このように革靴はレングスとウィズを組み合わせてサイズを表記しているものが殆どです。
例えば英国メーカーのものだと「8E(エイトイー)」「7.5D(セブンハーフディー)」といったイメージです。
ただこの表はあくまで一般的なものであり、各メーカーによって同表記でもかなり大きさが違います。
サイズ表記を参考にある程度大きさを絞り込んだら、最後は後述するようにしっかりと試着することが大切です。
試着の際のポイント
ここまできたらいよいよ試着。
試着の際にチェックしてほしいポイントを以下に挙げていきます。
ボールジョイント
・ボールジョイント部の幅
ボールジョイントとは足が左右に一番広い部分。
ここの幅が革靴とうまく合っているかを確認します。
この部分がキツ過ぎると圧迫感を感じて歩行時に痛みの原因になります。
逆にゆるすぎても足が靴の中で前後に動いてしまうので、靴擦れの元になってしまいます。
・ボールジョイント部の甲高
ボールジョイントの上部、親指の関節上あたりの甲部分にある隙間を確認します。
少し隙間ができて余裕があるくらいが理想。
この部分に隙間がありすぎるとはきジワができやすくなったり、甲の皮膚がはきジワに挟まり痛みを伴うようになります。
甲の部分に「噛まれる」ような痛みを経験したことがある人は、ここが原因かも。
捨て寸
革靴は一般的に前部分をボールジョイントで固定します。
なのでつま先の先端には空間が残るようになっています、これを捨て寸と呼びます。
適切なサイズの場合、この捨て寸の空間が2〜3cm程度残っているのが好ましいとされています。
ヒールカップ
ヒールカップとはかかと部分のこと。革靴の履き心地を決める重要な部分です。
靴紐を締めた状態でこのヒールカップに余裕がありすぎると、カパカパして歩きにくさの原因になります。
キツ過ぎるとかかと部分に靴擦れを発生しやすくなります。
ほんの少し余裕を残しくらいのフィット感が良いとされています。
試着時は店内を歩いてみて、ヒールカップがかかとにしっかりと付いてくる感覚があるかを確かめてください。
羽根の開き
革靴の靴紐を結ぶ部分を羽根と呼びます。
この羽根部分は開き過ぎていても、閉じ過ぎていても見た目が美しくなりません。
靴紐を締めた状態で程よく開いているくらいがちょうど良いです。
また革靴は履いているとソールが沈み込んでいくので、履きこむほど羽根が閉じていきます。
そのため購入時は少し開いているくらいの状態がベスト。
トップライン
トップラインとは革靴の履き口のこと。
革靴の履き口は内側よりも外側の部分の方がすこーしだけ低く設定されています。
ここもくるぶし周りの靴擦れ多発ポイントの一つ。
履いた状態でトップラインがくるぶしが当たって痛くないか、歩いたりしゃがんだりしてよく確認しましょう。
ころし
革靴の内側、土踏まず辺りにある靴のくぼみをころしと言います。
適切なサイズを選べば、靴底から上部にかけて自然に膨らみがつきますが、サイズが小さいとこのころしの部分がパンパンになってしまい、見た目が悪くなります。
靴の試着は夕方がベスト
革靴に限らず、靴の試着は一般的に夕方に行うのが良いと言われています。
その理由は人の足は「むくみ」により1日の間でも微妙に大きさが変化するから。
むくみは主に血行不良によって起こります。
人は昼の活動中には直立姿勢になっていることが多いので、血液がどうしても下半身に溜まってしまい、夕方頃にはむくみが出やすくなります。
なのでむくみにより足が大きくなっている状態=夕方に試着をすると、後からキツすぎて痛いということが無くなるのです。
合わせるソックスも考えておく
革靴を履く際に必ず一緒に着用するのがソックス。
店頭で試着をする際には、あらかじめ合わせようと思っているソックスを履いていくことをお勧めします。
ビジネス用途なので主に薄いソックスを合わせるのか、カジュアルな厚手のソックスも履きたいのか。
革靴のサイズ合わせは少しの大きさでも大きく履き心地が変わるため、ソックスの厚みも購入時に考慮しておくと安心です。
快適に格好良く履くために
適正サイズの革靴を履くことは単に快適な履き心地を得ることだけでなく、見た目の美しさにも関わってきます。
また、ジャストサイズの革靴は無駄なシワが出来にくく、革へのダメージも少なくなるので、長持ちします。
革靴は長く履き続けることで徐々に伸びや馴染みがでてくるまさに生き物。
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