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デジタルか、アナログか。

2018年に高城剛が出した『50mm』という雑誌。紙の雑誌が廃れ読者がWebに流れていく逆流の中で発刊されたその雑誌は、アナログでしかできない体験を提供するという目的があったといいます。その仕組みの1つが34.6 x 23.6cmという大型の紙面サイズ。紙面をモバイルデバイスの画面サイズ以上の大きさにするという、アナログなモノだからこそできる体験が盛り込まれた雑誌です。

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デジタルかアナログか———。出版物を問わずこうした比較はどんな分野でも見られます。

例えばフィルムカメラ。ぼくもフィルムカメラを始めて以来、なぜここまでアナログ写真に魅せられるのかを考えていました。ノスタルジックな写り?非効率さを楽しむ余裕?はたまた他の人とは違うモノを使っているという天邪鬼?

頭でぐるぐると考えてもイマイチこれといった確信を得られず、フィルムカメラを使う人にその理由を聞いて回ったりもしてきました。

(もうすぐ新しいインタビューを公開予定…!)

その後も相変わらず理由が分からないままフィルムカメラを楽しんでいて、つい先日撮った写真をプリントしてみました。いつもならL版や大きくても2L版サイズなのですが、その日はいつもより大きな四つ切サイズで刷ってみることに。

そうして出てきた写真がこれ。Leica M6 TTLにEKTACHROME E100を詰めて撮影した1枚。

この写真を見たとき、フィルムで写真を撮る意味や理由みたいなものが頭ではなく感覚で腑に落ちた気がしたんです。それは「フィルムの魅力」という積極的な理由ではなく「デジタルにこだわる必要がなくなった」という意味で。

四つ切にプリントされた写真は、これまでSNSで見たどんな写真よりも迫力とリアリティを持って自分に迫ってくるものがありました。誰のためでもなく自分のために写真を撮るぼくにとって、多分このサイズ以上のデータの質は必要ない。ピクセルを等倍まで拡大して鑑賞することもない。

そう考えたときにずっと心のどこかに感じていた「デジタルがあるのに、あえてフィルムで写真を撮る理由」という問いかけの中にある、“デジタルがあるのに”という前提がなくなったんです。

少なくともぼくの使い方では、デジタルであることがフィルムよりも優位に働くことはほとんどない。よく言われるフィルムカメラのコストの点も、デジタルでは自分が使わない機能にもお金を払っていると考えれば、フィルムだけが不当に高いわけでもないと思います。

デジタルもフィルムもそもそも別物で両者に優劣がないからこそ、どちらを選ぶかはまったくの好みの問題。わざわざデジタルに対して無理に利点を探さなくても、単に「フィルムが好きだから」という理由だけでいいんじゃないかなと。

同じようにデジタルもフィルムに対して無理に差別化を図らなくてもいい。その日の目的のために必要であればデジタルを使えばいいし、単に「デジタルの方が好きだから」という理由だって構わないと思う。

全くもってぼく個人の場合の話でまとまってるとも言い難い内容ですが、この感覚を残しておきたくて文章にしてみました。

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